2013年に開店した久世福商店の1号店。その船出や10年間の発展の裏には、多くのご縁や協力してくださった方々の存在がありました。
詳しくはこちら(久世良太社長のインタビュー)
現在日本各地で多くの方々に愛されている久世福商店は元々、海外進出を見込んで作られたブランドでもありました。今回は、アメリカを中心に久世福商店の海外版ブランド“KUZE FUKU & SONS”を展開する子会社代表でもある、久世直樹副社長の話をお届けします。
※トップの画像はアメリカオレゴン州のSt.Cousair,Incが運営する工場
久世直樹副社長
ブランド誕生直後に感じた海外展開の可能性
———直樹さんが現在代表をされている、アメリカの子会社St.Cousair,Incについて教えてください。
久世直樹副社長(以下、直樹):2015年に僕がアメリカに行き、調査や準備を経て2017年に子会社を立ち上げました。久世福商店の海外版ブランド“KUZE FUKU & SONS”を展開しています。
日本のような直営店はありませんが、日本の久世福商店で取り扱っているものと同じ商品やアメリカで自社製造している商品を小売店に向けて販売しています。自社製造はオレゴン州の加工工場で行っています。
ゆず味噌のタレやゆずのジャムなど100種類くらい製造して流通させています。日本にはない商品も多くありますよ。
アメリカでのみ販売している YUZU MISO (ゆず味噌のタレ)
―――久世福商店の商品が海外の方にも喜んでいただけると感じた経験や10年間の中で印象に残った出来事はありますか?
直樹:幕張新都心の1号店にいたことがありまして、その時の話です。お店には外国からのお客様も多くいらっしゃいました。
ある時、おそらくアメリカ人のお客様だと思うのですが、僕たちの商品を見て「このロゴマーク、すごくクールだね!」と言ってくださって。パッケージのデザインにも、商品そのものにも驚かれていたようでとても印象的でした。このブランドは必ず海外でも展開できると思いましたね。
「なんだこれ?」から「おいしい!」に 日本の素晴らしさを海外へ伝える役割
直樹:もうひとつ、僕がアメリカに行った後のエピソードです。久世福商店でも人気の商品であるなめたけを“KUZE FUKU & SONS”でも取り扱っていまして、それを30代の白人男性に紹介したことがあります。
私たちは白米を炊いて持っていき、それになめたけを乗せて彼に渡しました。日本食にあまり馴染みがなく、なめたけを初めて目にした彼は「なんだこれは!?本当においしいのか?」と非常に戸惑っていまして。最終的に、「う~ん」と悩みながらも口に運び、直後に「Oh my God‼すごくおいしいぞ!」と言ってくれました。
その食べる前後の彼のギャップを見て、海外で自分たちの生きる道がここにあるなと思いました。おいしいのに海外で知られていない日本の商品を海外の人にわかりやすく説明して、広く伝えて行くこと。それが、私たちの大きな役割のひとつだなと。
Enoki Mushrooms (なめたけ)その地域の食文化と融合しながら愛される和の商品も多い
一方で、日本の久世福商店と取引するメーカーさんの中には国内だけでなく、私たちと一緒に海外での販路を見出すこともできている会社もあります。
その一つが万能だしのメーカーさん。Traditional Umami Dashiという名前でほぼ全米に出荷させてもらっている人気商品です。日本でそのメーカーの会社の方とお会いした際、アメリカで売れていることを非常に喜んでくださっていまして。
日本の素晴らしさを海外のお客様に伝えることに僕はとても喜びを感じていますし、ライフワークだと思っています。その過程で日本のメーカーさんと一緒に海外への可能性を切り開いていく。そうやって自分たちが貢献できているということも、とても意義のあることだなと思っていますし、今後も一生懸命にやっていきたいなと思っています。