2013年、長野県飯綱町にあるワイナリーや工場でつくった、ワインやジャム、パスタソースなどを製造販売するメーカーズブランド「サンクゼール」を展開してきた株式会社サンクゼール。中国の店舗での経験や、和食が見直されてきた世の中の流れ、積極的な海外進出も視野にいれた和食ブランドを新たに立ち上げることとなりました。
今回は、「久世福商店」(読み方は「くぜふくしょうてん」)という名前の由来やそのロゴマークに込められた意味についてお伝えします。
登場人物 久世福松:サンクゼール創業者である久世良三の父 久世良三:サンクゼール創業者・現会長。久世良太・直樹の父 久世良太:サンクゼール代表取締役社長。久世良三の長男 久世直樹:サンクゼール代表取締役副社長。久世良三の次男
対談中の様子
「福」の字に込められた願いと覚悟
———企画段階では「久世商店」という名前だった「久世福商店」の名前の由来を教えてください。
久世良太社長(以下、良太):「株式会社久世」という私たちのおじいさんが始めた問屋さんが今でもあります。当時、僕のいとこが社長をしていたので、いろいろと相談しました。ですが、そちらの会社の屋号なので別の名前にすることになりました。
そこで、考えたのは「久世福松(くぜふくまつ)商店」でした。「福松」は僕たちのおじいさんの名前です。
久世福松(左端)と良三会長(右端)
久世良三会長(以下、良三):父の久世福松は苦労して「久世商店(現 株式会社久世)」を立ち上げ、1代で成功させた人でした。「久世商店」は食品の卸業やケチャップ、ソースなどの自社製造をしていました。企業の社員食堂や大きな百貨店に納めていましたね。
父は本当にいい商人でしたね。約束を必ず守る誠実で、謙虚な商人。それで父は成功したんじゃないかな。
久世直樹副社長(以下、直樹):僕たちはおじいさんのことが大好きでしたね。僕たち孫にも厳しかったのですが、本当に誠実な人で。尊敬の思いも込めて、名前をお借りしたいという話になりました。
様々な願いや覚悟の込められた「福」の字の幕がお店を見守る
良太:株式会社久世さんとも話して、いいですよと言ってもらいました。そこで、もっとお客様に愛着をもって呼んでいただけるようにできないかと考えたのです。日本人は愛着をもって名称を短縮して呼ぶことが多いですよね。でも、「久世福松商店」では略すのは難しいなと思いまして、「久世福商店」がいいのではと。
皆様に愛されて「久世福(くぜふく)」と呼んでもらい、「福」がもたらさせるようにと願いを込めました。
久世という私たちのファミリーネームや誠実な商人だったおじいさんの名前を背負っている以上、真面目にお客様と向き合って信頼されるブランドにしていくという覚悟も示しています。
良三:願いを込めて付けた通り、皆様がすぐに「久世福」と呼んでくださって。嬉しかったですね。
良太 直樹:そうですね。
ロゴマークが表す「商いの心得」
―――ロゴマークの意味についてはいかがでしょうか?
良太:ロゴマークは、多くの候補がありました。ブランドの顔となるものですから、本当に悩みましたね。最終的に選んだ、今のマークは「やまさん」と呼ばれています。上のVを逆にしたような形は信州の山々を表すとともに、久世福商店の「久」の下半分を示しています。
中にある「三」のような部分もいくつかの意味がありまして、1つは当時社長で、久世福商店の元となる企画の発案者である良三さんの「三」。もう一つは、久世福商店の「商いの心得」(下図参照)に基づきます。これは、久世福商店というブランドの魂のような部分です。3条ありますので、その「三」を表しています。
商いの心得
こちらの心得。特に私たちが大切にしているのは、最後の「お客様、仕入先様、世間様、三方共に満足しうる商いをすべし」という一文です。ここの部分の「三」の意味もあります。
ロゴマークもお客様に愛されるものになるよう、メインターゲットである女性の意見を特に大切にしながら決めました。
先ほどおはなししたブランドの名前もロゴマークも「誠実かつ真面目にお客様と向き合って商売をする」という覚悟。それから、お客様に愛されるブランドに育てていきたいという思いを込めています。