サンクゼールのジャムは、サンクゼールの創業と発展を支えてきました。
創業時代営んでいたペンションに宿泊するお客様と家族のために手づくりしていたまゆみ夫人のジャムは、糖度が50〜55度。
当時のJAS(日本農林規格)で定められている「ジャム」の規格(糖度65度以上)から外れていて「ジャム」と名乗ることができず、
独自に「生ジャム」と呼んでいました。
ペンション経営から転身のきっかけとなったジャム製造販売、そしてその後発展してきたサンクゼールの事業、
全ての原点は、このまゆみ夫人の家族への愛情に満ちたジャムなのです。
サンクゼールは、今も変わらず、素材そのものを生かすジャムづくりを大切にしています。
すべては、お客様の「おいしい」のために。
今日もじっくり時間をかけて、新しい瓶に詰めていきます。
サンクゼール本社がある飯綱町は、一面のりんご畑が見渡せる、日本でも有数のりんごの名産地です。
地元のりんごを使った醸造がスタートしたのは2000年のこと。飯綱町の天然記念物でもある小さな「高坂りんご」を使ったシードルなど、
それぞれのりんご品種(高坂、ふじ、ブラムリー、メイポール)の特性を生かしたシードルは、サンクゼールを代表する人気商品になりまし
た。
2015年からは、地方創生事業の一環として、飯綱町の豊富な資源であるりんごを使って、飯綱町の企業であるサンクゼールが蒸留酒をつくるプロジェクトが発足。
りんご蒸留酒の本場、フランス・ノルマンディーへ「カルバドス」づくりの視察へ行ったり、造り手を招致する取り組みを経て、サンクゼールにとって初めてのりんご蒸留酒づくりが始まったのです。
アップルブランデーは創業者久世良三・まゆみ夫妻の長年の夢でもありました。
ペンションからジャム販売へと転身した夫妻は、今後のヒントを探すために、行けていなかった新婚旅行もかねてフランス・ノルマンディーを訪れました。
そこで出会ったのは、一面のりんご畑、その中に佇む蒸溜所のある美しい田園風景と、地元の新鮮な素材を活かしたおいしい料理とワイン、家族的なおもてなし、田舎の豊かな文化に誇りをもって生きる人々の姿でした。
その成熟した大人の文化に感銘を受けた久世が、三水村(現飯綱町)に誘致を受け、スタートしたのがサンクゼールの丘です。
その時以来、この丘でブランデーを造ることが夢のひとつとなりました。
地元で大切に育てられたりんごは、新鮮なうちにきれいに洗浄。細かく砕いてりんご果汁を搾ったら、酵母を加えて発酵。
こうしてまずできあがったものが、シードルです。ブランデーづくりはここから、ドイツ産オーダーメイドの蒸溜機を使って、約3時間かけて蒸溜していきます。
できあがったブランデーは、原料のおよそ10分の1の量に。凝縮された滴の中に、飯綱町のりんごづくりの歴史が詰まっています。
ぶどうを育ててワインを作る人たちを、フランスではヴィニュロン(Vigneron)と呼びます。
飯綱町のサンクゼール・ワイナリーでは、約10haの見晴らしの良い畑を拠点に、四季折々、ヴィニュロンたちがワインづくりを行っています。
サンクゼール・ワイナリーは1990年の設立以来、毎年ぶどうを収穫しワインをつくり続けていますが、30年近い年月を経て、高樹齢を迎える古木も目立つようになってきました。
2018年からは、古木を条件の良い土に移したり、新たな苗木を植え替えたり、ワイン畑の未来への挑戦も続けてきました。
ブルゴーニュの畑を開拓していった修道僧のように、枝をさし、土を改良して、めざすのは100年後の美しいヴィンヤードと、豊かなワイン産地としての飯綱町。
次の、また次の世代に、この地を訪れる多くの人たちが「ここにシャルドネとピノノワールが植えてあってよかった」と、ワインを楽しみながら感じてくれることを信じて、今日も畑に向かっています。